筋膜リリースとは筋肉本体ではなく
それを包んでる筋膜に着目した施術方法です。
一般的なあん摩・マッサージ・指圧とは少し違います。
筋膜に包まれた筋肉は一つの塊をなし「頭」と表されることもあります。
上腕三頭筋 大腿四頭筋などそれぞれ別の筋膜で包まれた三つの頭 四つの頭の集まりです。
同じ名前でひとくくりにされていても包んでいる「膜」が違えば別の筋肉であり働きも違うと考えられます。
大腿四頭筋は「大腿直筋」「中間広筋」「外側広筋」「内側広筋」に分けられます。
筋肉は収縮して力を出します。
伸びる方向には作用しません。
関節の屈曲・伸展には
それぞれ相対する(拮抗筋)が作用します。
筋肉を断面で見ると
さらにいくつかの筋繊維の束に分かれています。
筋繊維は筋原線維の束であり
筋原線維は2種類のフィラメントが
たがいに隙間に滑り込み
密度を高めることによって
筋肉全体の収縮状態を作り出します。
筋肉は連続した使用や同じ姿勢を続けることで
縮んだまま伸びなくなることがあります。
このことを
「コリ」「拘縮」「過緊張」「筋スパズム」
と言っています。
コリに対する施術で
筋肉に作用させるのがマッサージです。
固まってしまった繊維を
他動的に動かすことによってほぐし
血流を促すことによって
物質の循環を促進する効果があります。
筋肉内で代謝に必要な酸素・栄養素
潤滑に必要な水分を
運ぶのは血液です。
マッサージも血流を促すことで
ある程度の効果を得られます。
筋肉は筋膜に包まれています。
筋肉は繊維の束ですが
ロープのように撚られてなく
筋膜に包まれることで
方向が決められ
形がまとめられます。
その筋膜に着目して施術するのが
筋膜リリースです。
筋肉の両端は関節を挟んで*
腱を介して骨に付着しています。
始まりを起始部
終わり(遠位でより動く方)を停止部
といいます。
マッサージの考え方では施術範囲が
起始部から停止部の範囲(筋腹)に限られます。
筋肉は腱になったところまでですが
筋膜リリースの考え方では
筋膜は腱も覆い骨膜までつづき
それを超えて次の筋肉の筋膜まで
つながってると考えます。
例えばふくらはぎの筋肉である腓腹筋はヒラメ筋と束になりアキレス腱として停止しますが筋膜はかかとを越え足底までつながります。
この視点で捉えると足底の状態とふくらはぎの状態 は無関係ではありません。
*主な骨格筋の場合です。表情筋は皮膚に停止します。
生物は膜構造を持っています。
細胞膜からはじまり組織になり
同じ働きもしくは違う働きの組織を
いくつか組み合わせて器官を構成します。
器官には役割がありそれぞれ
運動系 神経系 消化系 呼吸系 骨格系 循環系等といいます。
器官は膜で包まれます。
これらの膜を総じて「facsia(生体膜)」といい
運動系の膜である筋膜もその一つです。
心臓は心膜で包まれ
消化器官もそれぞれが腹膜で包まれます。
骨にも骨膜があります。
器官と器官は膜を境に接します。
隣り合う筋膜は運動時に擦れ合います。
密接して摩擦を繰り返します。
筋膜間では間質液が潤滑剤になり
滑りやすくなっていますが
運動量やスピードが激しかったり
長時間にわたったりすると
水分の供給が足りなくなり
滑走不良を起こします。
カエルを水中でつかもうとしても
ヌルヌルして逃げられますが
いったん捕まえたカエルを
空気中にしばらくおくと
皮ふの水分が失われて
ベトベトに変わり
やがては全く滑らなくなります。
筋膜の滑走不良もこれに似ています。
潤滑用の水分が足りなくなればヌメヌメがベトベトに変わり動きつらくなります。
※イラストはイメージです。
滑走不良を起こすと
くっつきやすくなり
しわになりやすくなります。
イメージとしては食品用のラップがしわになってくっつくようなことに似ています。
さらにひどくなると
しわの部分が重なり
「重積」
と呼ばれる動きの悪い部分
エコー画像診断機にも映る塊を作ります。
筋膜のかたちが変わると
その中身の筋肉も影響を受け
本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。
※「癒着」という言葉が使われることがありますが医学的には正確ではありません。
・並行して隣接する面積が広い筋膜どうし
・ひとつの起始部 停止部に重なる筋膜どうし
です。
他にも使われていない動かされていない筋膜も
貼り付いた状態になっていると予想できます。
筋膜リリースではこういった場所が施術するポイントです。
筋膜リリースの道具は
・手
・リリースロッド
・ミオラブ®
・リリースプレート
・リリースガン
と当院で使用するものも色々あります。
これでなければできないというのは
状況に適応できない術者のエゴです。
しかし鍼には他の方法ではできない
メリットがあります。
筋膜の内部は間質液で充満しています。
そこに鍼を刺して穴をあけると
それが外部へ滲出して
付近の滑走不足が改善され
動きが格段に良くなります。
これは鍼に即効性がある
理由のひとつであり
鍼だけができることです。
鍼のもう一つの利点は
深層の筋膜に到達できること
根本的な原因は
深層筋(インナーマッスル)にあることが多く
刺鍼でなければ解決できないと思われます。
筋膜リリースを
より効果的に行うためには
対象の筋肉を脱力させることが
大事です。
これはマッサージ等でも同じです。
力の入った筋肉を
揉んだり押したりしても反発されて力比べになるだけです。
筋膜も中身の筋肉が膨張することで伸長します。
例えるとしわのいったラップを
引っ張ったままだと
しわを戻すことはできませんが
緩めると戻しやすくなります。
同じような現象が
筋肉を脱力することで起こります。
筋肉は伸ばされると引き戻そうと
力が入ってしまいます。
屈曲状態(短縮位)にして施術するほうが
刺激が少なく受け入れやすくなります。
(屈筋の場合)
効果的に行うには
どんなツールを使うかよりも
脱力短縮位
をいかに作るかのほうが大事です。
当院では
効果的な施術を行うために
枕やマットを取り揃え
いかに脱力してもらうかを
常に考えています。
あなたのご来院を
心からお待ちしております。
I will set you to Be Free.